2025 J2昇格争い 終盤展望:水戸・長崎を追う昇格レースの行方

Jリーグ

2025年11月22日

2025年の明治安田J2リーグは、残り2試合を前に昇格レースが最終局面を迎えています。上位2クラブがJ1自動昇格、3位〜6位がJ1昇格プレーオフに進出する今季のレギュレーションのもと、首位・水戸ホーリーホックをV・ファーレン長崎、RB大宮アルディージャ、ジェフユナイテッド千葉らが追う構図です。本稿では、2025年11月9日(第36節終了時点)のJリーグ公式データをもとに、昇格の可能性を残す各クラブの「条件」と「戦い方のポイント」を整理します。

J2昇格レースのレギュレーションと現在の順位(第36節終了時点)

2025シーズンのJ2では、年間38試合のレギュラーシーズン終了時点で、1位・2位クラブがJ1へ自動昇格し、3位〜6位クラブがJ1昇格プレーオフに進出します。プレーオフはJ2の3〜6位とJ1下位クラブの入れ替え戦とは別枠で行われ、勝ち抜いた1クラブがJ1昇格の権利を得ます。ライセンスの有無によりプレーオフ出場可否が変わる点も、Jリーグ公式の大会概要で明示されています。

第36節終了時点(更新日:2025年11月9日)のJ2公式順位表上位は次の通りです(勝点・得失点差などはJリーグ公式サイト掲載の数値に基づきます)。

順位クラブ勝点試合得点失点得失点差
1水戸ホーリーホック6736191075232+20
2V・ファーレン長崎6636181266042+18
3RB大宮アルディージャ633618995734+23
4ジェフユナイテッド千葉633618995034+16
5徳島ヴォルティス6136171094222+20
6ベガルタ仙台6136161374735+12
7ジュビロ磐田6036186125548+7
8サガン鳥栖5736169114541+4
※順位・勝点・得失点差は2025年11月9日更新のJリーグ公式順位表に基づく。

残り試合は各クラブ2試合(最大勝点は現状+6)。このため、6位ベガルタ仙台(61)を勝点で上回る可能性があるのは8位サガン鳥栖(57)までで、9位以下のクラブはプレーオフ圏(6位以内)に届きません。自動昇格の2位以内争いも含め、実質的に「昇格の可能性」が残っているのは1〜8位の8クラブという構図です。

水戸&長崎:自動昇格を争う2クラブの視点

1位 水戸ホーリーホック:初のJ1昇格を手繰り寄せる終盤戦

勝点67で首位に立つ水戸は、残り2試合で勝点3以上(1勝または3分)を積み上げれば、最低でも勝点70となり、3位RB大宮の最大勝点69を上回るため自力で2位以内確定という立場にあります。失点32・得失点差+20という守備の安定感も武器で、「勝ち切る」よりも「負けない」戦い方を採りやすい局面です。

Jリーグ公式の終盤戦特集でも、第37節での長崎戦の結果次第で水戸の優勝および昇格が決まる条件が細かく整理されており、「まずは2位以内確定、そのうえで優勝」というステップが明示されています。首位クラブとしては、先制点を奪った試合のマネジメント、そしてリスクを抑えながら引き分けを拾える守備ブロックが最大のポイントになります。

戦い方のキーワードは「ゲームを壊さないこと」。極端なオープンゲームに持ち込まず、ボール保持と陣形のバランスを保ちつつ、90分を通してリスクコントロールし続けられるかが、クラブ史上初のJ1昇格を決めるカギになります。

2位 V・ファーレン長崎:優勝と昇格の両方を狙うチャレンジャー

長崎は勝点66で2位。自動昇格枠の確保という意味では、残り2試合で最低でも勝点4(1勝1分)を積み上げて勝点70に乗せることが一つの安全ラインになります。一方で、首位・水戸とは1ポイント差であり、直接対戦を含めた残り2試合の結果次第では、逆転優勝の可能性も十分です。

リーグ屈指の60得点を誇る攻撃力を考えれば、「点を取りに行く」発想になりがちですが、2位を守るという観点では失点リスクとのバランスが重要です。勝点1を取りこぼさないための試合運びと、ビハインド時にギアを上げられる交代カードの使い方が、終盤の勝敗を左右するポイントになります。

特に直接対決では、勝てば一気に優勝が近づく一方、負ければ3位以下に落ちる可能性もある「6ポイントゲーム」。入りの15分間のゲームプランと、リード/ビハインドそれぞれのシナリオに対する事前準備が問われます。

大宮&千葉:自動昇格も視野に入る3位・4位グループ

3位 RB大宮アルディージャ:得失点差を武器に「連勝でプレッシャー」

RB大宮は勝点63、得失点差+23と、上位クラブの中で最も優れた数字を誇ります。自動昇格を狙うためには、残り2試合での連勝が前提であり、そのうえで水戸・長崎のいずれか(あるいは両方)が取りこぼすことが条件となります。

一方で、プレーオフに目標を絞るのであれば、3位キープが最優先。3位で終えられればプレーオフを有利な条件(ホーム開催など)で戦える可能性が高くなります。得失点差で優位に立てることを踏まえると、引き分けを悪い結果と捉える必要はなく、「負けない」中に勝ちを織り交ぜる現実的な戦い方も選択肢になります。

ポイントは、ビルドアップからの崩しにこだわりすぎず、セットプレーやショートカウンターを織り交ぜて「効率良く先制すること」。先制後の試合運びが安定しているチームだけに、早い時間帯にスコアを動かせれば、自動昇格組に強いプレッシャーをかけられます。

4位 ジェフユナイテッド千葉:悲願のJ1復帰へ、引き分けを勝ちに変えられるか

千葉も勝点63で大宮と並び、得失点差+16で4位につけています。自動昇格を目指す上では、基本的には大宮と同じく「連勝+上位の取りこぼし待ち」になりますが、クラブとしてはまず3位浮上とプレーオフホーム開催が現実的な目標になります。

長年J2で戦ってきた中で、「終盤に失速してチャンスを逃す」シーズンも多かった千葉にとって、今季の終盤戦はメンタル面のコントロールが特に重要です。試合内容で優勢に立ちながら勝点1に留まる試合も少なくなかっただけに、拮抗した展開で最後の1点をもぎ取る勝ち切る力が問われます。

セットプレーの質と交代選手のインパクトは、プレーオフを見据えた意味でも鍵になります。「90分トータルで上回る」のではなく、局面ごとに勝ち切る感覚をどこまで植え付けられるかが、悲願のJ1復帰への条件と言えるでしょう。

徳島・仙台:プレーオフ圏死守と上位食い込みを狙う中位上位勢

5位 徳島ヴォルティス:堅守を軸に「ローリスクで勝点を積む」

徳島は勝点61、得失点差+20と、水戸に次ぐ堅守を誇るチームです。自動昇格の可能性は理論上残っているものの、上位4クラブが揃って失速する必要があり、現実的にはプレーオフ圏(3〜6位)の死守と、可能であれば4位以上がターゲットになります。

守備が安定しているチームだからこそ、終盤戦で大事になるのは0-0の時間帯をどうこじ開けるか。リスクを冒しすぎればカウンターの矢面に立たされますが、今の徳島にはセットプレーやショートカウンターで効率的に一点を奪う力があります。残り2試合で最低1勝を挙げればプレーオフ圏維持の可能性は高まり、「守り切る」ではなく「守りながら勝ちに行く」バランス感覚が求められます。

6位 ベガルタ仙台:滑り込みではなく「上を目指す」終盤戦にできるか

仙台は勝点61で徳島と並び、得失点差+12で6位。7位ジュビロ磐田とは1ポイント差しかなく、まずはプレーオフ圏死守が最優先です。その上で、残り2試合で勝点4以上を積み上げられれば、4位以上も十分射程に入ります。

チームスタイルとしては、攻守ともに「平均的」で大崩れしない一方、上位クラブを圧倒するような試合も多くはありません。そのため、ビハインド時のリアクションがポイントになります。終盤戦は先制点を許した試合を引き分けや逆転に持ち込めるかどうかで、6位キープか7位転落かが分かれてきます。

ホームゲームでは前からのプレッシングとサポーターの後押しを活かした「押し切る」戦い方、アウェイではブロックを敷いてカウンターに繋げる「我慢する」戦い方と、ホーム/アウェイでメリハリをつけることも重要です。

磐田・鳥栖:プレーオフ圏への「最後のイス」を狙う追う立場

7位 ジュビロ磐田:連勝でプレーオフ圏内“滑り込み”を狙う

ジュビロ磐田は勝点60で7位。6位仙台との差は1ポイントで、1勝1分以上を残り2試合で積み上げれば、仙台や徳島の結果次第ではプレーオフ圏突入の可能性が高まります。できれば連勝(勝点6)を目指したい立場です。

55得点と攻撃力は非常に高い一方で、失点48と守備面の課題も抱えており、「撃ち合い上等」の展開は勝点を不安定にしがちです。ここからの2試合に関しては、リードした試合を締め切る守備とゲームコントロールがテーマになります。

特に、昇格争いのプレッシャーがかかる中で、リスクをどこまで許容するのかという判断が指揮官に問われます。前線のタレントを活かしつつも、終盤は中盤に守備的なカードを切って試合をクローズするなど、「勝点3を取り切る」ための割り切りも必要になるでしょう。

8位 サガン鳥栖:連勝以外に道はほぼない“背水の陣”

鳥栖は勝点57で8位。6位仙台とは4ポイント差で、プレーオフ圏に食い込むためには、残り2試合を連勝することがほぼ必須条件です。そのうえで、仙台・徳島・磐田のうち少なくとも一つ、状況によっては二つ以上のクラブが取りこぼす必要があります。

現実的には厳しい状況ですが、成績だけを見れば攻撃・守備ともに大崩れしているわけではなく、45得点・41失点と「ややプラス」のバランスを保っています。ここからは勝点1では意味が薄くなるため、リスクを取ってでも勝ち切りを狙うハイリスク・ハイリターンな戦い方が求められます。

特に重要なのは、初戦(第37節)での結果です。ここで勝点3を逃せば、数学的な可能性は残っても実質的には昇格争いからの後退が濃厚となります。試合の入りからギアを上げ、90分間アグレッシブに戦えるかどうかが、プレーオフに望みを繋ぐ条件になります。

昇格争い全体のポイント:何が最終盤の明暗を分けるのか

改めて整理すると、昇格争い全体の焦点は次の3点に集約されます。

  • 自動昇格ラインは「勝点70前後」:水戸・長崎がここに到達すれば、自動昇格の可能性は大きく高まる。
  • プレーオフ圏のボーダーは「勝点60台前半」:6位仙台(61)〜8位鳥栖(57)までが団子状態で、残り2試合で「1勝もできない」クラブは一気に押し出されるリスクがある。
  • 得失点差の重要性:大宮(+23)、徳島(+20)、水戸(+20)などは、勝点で並んだときに順位で優位に立ちやすい。

この条件を踏まえると、最終盤のポイントは、「上位2クラブがどこまで硬く戦うか」と、「磐田・鳥栖ら追う側がどこまでアグレッシブに勝ち点3を積み上げられるか」のせめぎ合いになります。水戸・長崎がしっかり勝点を積み上げれば昇格枠は早期に確定し、プレーオフ圏争いが主戦場となります。一方、どこかが足踏みすれば、3位以下にも自動昇格の扉が開く可能性があります。

残り2試合という短期決戦の中で、各クラブがどのようにリスクを取り、どこでリスクを抑えるのか。その選択の一つひとつが、2025シーズンのJ2昇格レースの歴史を形作っていくことになりそうです。

公式ハイライト&関連情報:映像で振り返るJ2昇格レース

Jリーグ公式メディアでは、2025シーズンのJ2昇格争いを特集するページや、上位直接対決のハイライト動画などが多数公開されています。ここでは、J2昇格レースを象徴するコンテンツとして、公式X(旧Twitter)とYouTube公式チャンネルから一つずつピックアップします。

Jリーグ公式Xでは、J2の年間対戦カード発表や終盤戦特集など、昇格争いの文脈を押さえた情報発信が続いています。テキスト記事だけでなく、こうした公式発信もあわせてチェックすることで、昇格レースの熱量をより立体的に感じることができます。

また、Jリーグ公式YouTubeチャンネルでは、水戸ホーリーホックとRB大宮アルディージャによる上位直接対決など、昇格レースを左右する試合のハイライトがまとめられています。スタジアムの熱気やゴールシーンを映像で振り返ることで、数字だけでは見えない各クラブの“今”が浮かび上がってきます。

本稿で整理した昇格条件や戦い方のポイントと照らし合わせながら、公式サイトや映像コンテンツを追いかけていくと、2025シーズンJ2昇格レースのドラマがより鮮明に見えてくるはずです。