2025年11月23日、東京ドームで「ジャイアンツ・ファンフェスタ 2025 Presented by Fanatics」が開催された。3チーム対抗戦やファン参加型イベント、新入団選手のお披露目に加え、今季限りでユニホームを脱ぐ長野久義の引退セレモニー、メジャー挑戦に向かう岡本和真の“お別れ場内一周”まで、まさに笑いと涙が詰まった一日となった。
ここでは、公式発表や現地レポートをもとに、当日の流れと主要トピックを一気に振り返る。
当日のスケジュールと全体像:昼から夜までぎっしり詰まった“感謝祭”
ジャイアンツ・ファンフェスタ 2025 当日タイムテーブル(概要)
| 時間 | 主な内容 |
|---|---|
| 11:30ごろ | 開場 |
| 13:00ごろ | オープニング/グラウンドイベント(事前応募企画) |
| 14:45ごろ | 各種表彰、新入団選手発表、特別企画 など |
| 17:50ごろ | フィナーレ(長野引退セレモニー・岡本場内一周 などを含む構成) |
※時間は球団公式のイベント概要に基づくおおよその目安です。
今年のファンフェスタでは、事前応募制のキャッチボールやサイン会、選手と一緒に写真が撮れる企画、コーチ陣のトークイベント、小中学生向けの「おなやみそうだんじょ」など、グラウンド内外でさまざまなコンテンツが用意された。例年以上に“体験型”のメニューが多く、早い時間帯からスタンドはオレンジ色に染まっていた。
大城&岸田・小林&大勢・山﨑が率いる「3チーム対抗戦」 仮装あり、本気プレーありのお祭りモード
昼過ぎからグラウンドを盛り上げたのが、恒例となった「3チーム対抗戦」。昨年王者・大城卓三がキャプテンを務めるチームホワイト、岸田行倫&小林誠司コンビが率いるチームオレンジ、大勢&山﨑伊織が引っ張るチームブラックという顔ぶれで、それぞれが趣向を凝らした登場シーンや仮装でファンを沸かせた。
対抗戦の種目は、バラエティ色の強いゲームと、野球のスキルを存分に活かした対決がバランスよく組まれており、選手たちは真剣な表情と“お茶目な姿”を行き来しながら、終始リラックスした雰囲気。普段は見られない組み合わせで笑い合う姿に、「このメンバーでシーズンも戦ってきたんだ」と実感したファンも多かったはずだ。
長野久義、16年のプロ生活に区切り “ヒーローインタビュー形式”のあいさつと7度の胴上げ
この日のクライマックスの一つが、背番号7・長野久義の引退セレモニーだ。照明が落ちた東京ドームのスクリーンには、巨人・広島での名場面を詰め込んだ特別映像が映し出され、ルーキーイヤーの鮮烈な活躍から、幾度となくチームを救ってきた勝負強い打撃、ファンの記憶に残るプレーが次々と流れていく。
映像のあとには、高橋由伸氏、メジャーでプレーする鈴木誠也、原辰徳前監督らからのメッセージが続き、16年のプロ野球人生を称える言葉が贈られた。ベンチ前には花束がずらりと並び、ロッカールーム前の通路にも長野への感謝を込めた花が届けられていたという。
長野のあいさつは、本人の希望で“ヒーローインタビュー形式”。「今日のヒーローは長野久義選手です」というおなじみの呼びかけに、長野は満員のスタンドを見渡しながら「最高です」と笑顔で一言。若手時代を振り返って「格好いい時期もあったな、と自分でも少し見惚れました」と会場を和ませつつ、阿部慎之助から掛けられた言葉や、ベンチで誰よりも声を出してきた理由などを、ユーモアを交えながら語った。
花束贈呈では、阿部監督、高橋由伸氏、村田修一氏、今季メジャー・オリオールズでプレーした菅野智之、主将として長くチームを支えた坂本勇人が次々に登場。阿部監督と坂本は目に涙を浮かべ、長野も思わず目頭を押さえる場面があった。
セレモニーの締めくくりは、外野フェンス沿いを一周するラストランと胴上げ。まずは長野が、ポスティングシステムでメジャー移籍を目指す岡本和真の腕をぐいっと引っ張り、マウンド中央へ。岡本は驚きながらも宙に舞い、その後ようやく長野本人の番となり、背番号に合わせて7度の胴上げ。背中に刻まれた「7」が東京ドームの天井に向かって高く掲げられるたび、スタンドからは大きな拍手が送られた。
岡本和真、「希望の轍」とともに東京ドームと別れ “GOOD LUCK”のメッセージと場内一周
もう一つの大きなトピックが、メジャー挑戦を表明している岡本和真の“ラストファンフェスタ”だ。球団は11月18日にポスティング申請手続きを行い、MLB側も21日付で受理。全30球団との交渉が解禁され、来年1月4日(日本時間5日)までが交渉期間となっている。
岡本は3チーム対抗戦の企画や月間MVP表彰式など、イベントのさまざまな場面に登場。ジェスチャーゲームではチームメイトの全力“ネコ演技”に涙が出るほど笑い転げるなど、いつも通りの“25番スマイル”でファンを沸かせた。
そしてフィナーレ。ステージ上のイベントがすべて終わったあと、場内に突然、岡本の登場曲としておなじみのサザンオールスターズ「希望の轍」が流れ出す。センター後方のビジョンには「GOOD LUCK」のメッセージ。岡本は帽子を取り、ゆっくりと外野フェンス沿いを場内一周しながら、スタンドの一人ひとりに向けて深く頭を下げ続けた。
スタンドからは「岡本コール」と応援歌の大合唱。ボールをスタンドに投げ入れるたびに大きな歓声が上がり、涙を拭うファンの姿も多く見られた。長野の引退セレモニーで一度宙に舞い、この場内一周で改めて“ジャイアンツの4番”としての歴史に区切りをつけた形だ。
新入団11選手のお披露目も “次の時代”へバトンがつながる瞬間
こうした“別れ”のシーンと対になるのが、新入団11選手の初お披露目だった。ドラフト1位の左腕・竹丸和幸を筆頭に、支配下6人+育成5人が背番号入りのユニホーム姿で登場。それぞれがマイクを握り、「1年目からチームの中心に」「読売ジャイアンツの柱になります」「ファンが興奮するようなど派手な一発を」と、力強く決意表明した。
阿部慎之助監督は、球団公式のコメントで「素晴らしい逸材たち。しっかり見守って、一人でも多くここからスターが出てほしい」とエール。長野が語った「来年、阿部ジャイアンツが日本一になることが夢」という言葉と、新人たちの決意は、同じ方向を向いたメッセージとしてファンの胸に響いたはずだ。
“長野の背中”“岡本の覚悟”を受け継ぐシーズンへ
16年間で1512安打を重ね、“記録にも記憶にも残る外野手”として愛された長野久義。その背番号7が7度宙に舞った直後、同じマウンドで胴上げされたのは、ポスティングで海を渡ろうとしている岡本和真だった。長野が最後に語った「来年の阿部ジャイアンツが日本一になることが夢」という言葉は、残された選手たちへのバトンでもある。
ファンフェスタ2025は、レジェンドの引退、新たな挑戦に向かう主砲、そしてこれから一軍の舞台を目指すルーキーたちが一堂に会した“世代交代の縮図”のような一日だったと言えるだろう。阿部監督のもとで、どのような物語が紡がれていくのか。東京ドームで交わされた「GOOD LUCK」のメッセージを胸に、新しいシーズンの幕開けを待ちたい。
なお、当日の模様は球団公式動画配信サービス「GIANTS TV」や、日本テレビ系『DRAMATIC BASEBALL 2025』の公式YouTubeチャンネルでも順次配信されている。現地に行けなかったファンも、映像で“あの日”の空気を追体験してみてほしい。
