30歳にして、初めて陸上日本代表の座を掴んだ選手が、世界陸上へ向けた熱い想いを語った。代表シャツに袖を通した時の感動、長年の道のりを支えてくれた人々への感謝、そして決戦の舞台にかける覚悟を明かした。
■「すごく長かった」初の代表ユニフォームに込み上げた想い
「今朝このシャツを着た時、少しうるっとくるものが込み上げてきました」。
30歳で初めて背負う日の丸。その重みを実感した瞬間を、彼女はそう振り返る。「本当にすごく長かったな、と。ここまで支えてくださった方々の顔が浮かんで、うわーっていう気持ちになりましたね」と、これまでの道のりを噛み締めた。
この1ヶ月、最高の走りをするために練習を積んできた。「すごくワクワクドキドキな気持ち」で、大舞台を心待ちにしている。
■守りに入らず、海外勢に食らいつく
自身の競技を「一つのミスが命取りになる」と分析する彼女。それでも、「守りに入りすぎず、できるだけ海外の選手に少しでも食いつきたい」と、挑戦者としての強い気持ちを覗かせる。冷静さと大胆さを両立させ、自分らしい走りを見せることが目標だ。
そんな彼女が試合前に気持ちを高めるために見るのは、意外にもアニメ『ドラゴンボール』だという。「親子の“かめはめ波”のシーンがすごく大好きなので、そこを見て頑張ろうって気持ちを整えたいです」と、ユニークなルーティンを明かした。
■輝くネイルに込めた同級生との誓い
指先には、キラキラと輝くネイルが施されている。「同じ種目で同い年の福部真子と『ネイル、ギラギラでいこう』って話をしたんです」と笑顔を見せ、戦友との絆を語った。
競技者として、この舞台に立てることを「すごく幸せなこと」だと感じる。その想いを力に変え、「見てくださる皆さんに、勇気や希望を与えられるアスリートでありたい。そういうレースをしたい」と力を込める。
最後に、「たくさんの方々への感謝の気持ちを、とにかく国立で爆発させて最高のパフォーマンスをしたい。そのためには応援の力がすごく必要です。たくさんの応援を待ってます」とファンへメッセージを送り、決意を新たにした。
中島 ひとみ (なかじま ひとみ)
1995年7月13日生、兵庫県出身、専門は女子100mハードル。夙川学院高等学校、園田学園女子大学(現・園田学園大学)を経て長谷川体育施設に所属。中学2年でハードルを始めて翌年には全中を制覇、高校時代も世代トップとして活躍しました。大学・実業団では苦しい時期が続いたものの、2025年シーズンに大きく飛躍し、7月には日本歴代2位となる12秒71を記録して世界陸上東京大会の参加標準を突破、30歳にして初の日本代表入りを果たしました。