W杯26組み合わせ決定 日本はオランダ&チュニジアと同組の“チャレンジングなF組”へ

日本代表

2025年12月6日

W杯26組み合わせ決定 日本はオランダ&チュニジアと同組の“チャレンジングなF組”へ

2026年に北中米で開催されるFIFAワールドカップ26の組み合わせ抽選会が現地時間12月5日に行われ、SAMURAI BLUE(日本代表)はグループFに入ることが決まりました。対戦相手はオランダ、欧州プレーオフB勝者、チュニジアの3カ国。ヨーロッパの強豪とアフリカの難敵に囲まれた“チャレンジングなグループ”で、日本は過去最多となる5大会連続の決勝トーナメント進出、そして悲願のベスト16超えに挑みます。

抽選後、森保一監督は「非常にタフな組み合わせだが、どの相手にもリスペクトを持ちながら、自分たちの成長を示したい」とコメント。ドイツ、スペインを破った前回カタール大会の経験を引き下げ、今度は“欧州の強豪と正面から渡り合う日本”として世界にインパクトを残せるかが問われます。

グループFの顔ぶれと日本の立ち位置

FIFAワールドカップ26 グループF
ポジション 代表チーム 大陸 主な実績
F1 オランダ UEFA W杯準優勝3回、欧州屈指の攻撃的サッカー
F2 日本 AFC 8大会連続出場、直近2大会連続ベスト16
F3 欧州プレーオフB勝者 UEFA ウクライナ/スウェーデン/ポーランド/アルバニアのいずれか
F4 チュニジア CAF 6度目のW杯出場を誇る北アフリカの強豪

※欧州プレーオフBはウクライナ/スウェーデン/ポーランド/アルバニアの4カ国で争われる予定。

4チーム中、FIFAランキングではオランダが最上位、日本がそれに続く形で、「オランダ優位、日本と欧州プレーオフ勝者、チュニジアが2位争い」という構図が一般的な見立てです。一方で、日本はカタール大会でドイツ、スペインを撃破しているように、欧州勢との対戦で怖さとしぶとさを示してきました。通算の対欧州戦績は118試合38勝24分56敗と負け越しているものの、近年はトップレベルの国から白星を挙げる機会も増えており、“格上相手でも勝ち切れるチーム”へと進化していることが数字にも表れています。

オランダ戦は“主導権争い”が鍵 過去の対戦成績と教訓

グループF最大の山場と目されるのが、優勝候補の一角オランダ戦です。日本はオランダとのAマッチでこれまで3度対戦し、通算成績は0勝1分2敗、2得点6失点。2010年南アフリカ大会のグループリーグでは、後半8分にウェスレイ・スナイデルの一撃を許し0-1で敗戦。守備では粘り強く戦いながらも、わずかなスキを突かれる形で試合を落としました。

一方で2013年の国際親善試合では、前半に2点を先行されながら、本田圭佑と大迫勇也のゴールで2-2のドローに持ち込んだゲームもありました。この試合は「ビハインドでもボールを握り、主導権を奪い返す」日本らしい戦い方が実を結んだ好例と言えます。

現在のオランダは、伝統的なポゼッション志向に加え、縦への速さと個の能力も兼ね備えたバランス型の強豪です。日本としては、リトリート一辺倒ではなく、前線からのプレッシングとライン間でのパスワークを織り交ぜながら、「どちらがボールを持つのか」という主導権争いで引けを取らないことが重要になります。

“思い出の相手”チュニジア W杯初ベスト16、そして完敗と雪辱

チュニジアは、日本にとって特別な相手のひとつです。日韓ワールドカップ2002のグループリーグ最終戦で、日本はチュニジアを2-0で下し、W杯本大会で初めて決勝トーナメント進出を決めました。一方で、2022年のキリンカップ決勝では0-3と完敗を喫しており、“良い思い出”と“苦い記憶”の両方が刻まれている相手でもあります。

通算対戦成績は6試合で5勝0分1敗。スコアだけ見れば日本が大きく勝ち越していますが、直近4試合のうち2試合は0-3の敗戦と2-0の勝利が一度ずつ。組織的な守備からカウンターを繰り出すスタイルは、日本がもっとも嫌がるタイプの一つであり、内容的には楽な試合にはなっていません。

特に警戒したいのが、サイドからの速い攻撃とセットプレー。ラインを押し上げつつも、裏のスペースをケアするバランス感覚が求められます。攻撃面では、ボールを動かしながらチュニジアのブロックを揺さぶり、中央でのコンビネーションとサイドの1対1、どちらでもゴールに迫れる形を増やしたいところです。

未知数の欧州プレーオフB勝者 ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニアの横顔

F3枠の「欧州プレーオフB」には、ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニアの4カ国が名を連ねています。いずれも個性が大きく異なるチームで、日本にとっては「事前準備の幅」が問われる相手と言えるでしょう。

ウクライナとはAマッチで3度対戦しており、日本から見た成績は1勝0分2敗。2018年の親善試合では1-2と逆転負けを喫しており、フィジカルとテクニックを兼ね備えた東欧らしいスタイルに苦戦してきました。スウェーデンとのAマッチは4試合で0勝2分2敗と、こちらも勝ちがありません。空中戦とセットプレーに強く、組織的な守備から一撃で仕留めてくる力があります。

一方、ポーランドとは3試合で2勝0分1敗と日本が勝ち越し。2018年ロシア大会では0-1で敗れたものの、80年代の親善試合では連勝しており、「やり方次第では互角以上に渡り合える相手」とも言えます。アルバニアとはAマッチでの対戦がなく、完全な未知数。プレーオフを勝ち上がってきた勢いをどう封じるかがポイントになります。

日本と各国の対戦成績一覧

日本代表 対戦成績(国際Aマッチ・2025年11月時点)
相手国 試合数 得点 失点
オランダ 3 0 1 2 2 6
チュニジア 6 5 0 1 8 3
ウクライナ 3 1 0 2 2 3
スウェーデン 4 0 2 2 4 5
ポーランド 3 2 0 1 7 1
アルバニア 0 0 0 0 0 0

※いずれも国際Aマッチの記録。PK戦決着は引き分け扱い。

突破のカギは「初戦」と「試合運び」 F組から見える現実的なシナリオ

F組では、各チームが3試合を戦った後、上位2カ国に加え、成績上位の3位チームにも決勝トーナメント進出の可能性があります。組み合わせの妙を考えれば、日本が現実的に狙うべきシナリオは「チュニジアと欧州プレーオフ勝者との直接対決で最低4ポイントを確保しつつ、オランダ戦で勝ち点をもぎ取る」形でしょう。

特に重要になるのが初戦です。相手がチュニジアか、あるいは欧州プレーオフ勝者かによってアプローチは変わりますが、「負けないこと」をベースに、終盤に勝ち点3を狙いにいく勇気が問われます。カタール大会でも、ドイツ戦での逆転劇、スペイン戦での短時間での連続得点など、試合の流れを一気に引き寄せる“試合運びのうまさ”が日本の武器でした。

もうひとつのポイントは、選手層とコンディションマネジメントです。欧州でプレーする選手が増えたことで、シーズン終盤に疲労が蓄積した状態で大会に入るリスクも高まっています。3連戦を戦い抜くためには、ポジション毎にクオリティの高いローテーションを組み、相手との相性を見ながら大胆なターンオーバーを行う決断力も欠かせません。

森保ジャパンは“死のF組”をどう攻略するか

オランダ、欧州プレーオフ勝者、チュニジアという顔ぶれは、決して「楽な組」ではありません。むしろ、欧州・アフリカのクセの強い相手がそろった意味で、“死の組”と呼んでも差し支えないレベルです。それでも、森保ジャパンはこれまでも「格上」と見られる相手を倒し、世界を驚かせてきました。

世代交代が進むなかで、久保建英や三笘薫、上田綺世ら欧州組アタッカー陣に加え、Jリーグからも新たなスターが台頭してきています。ビルドアップとハイプレスの精度をさらに高め、「ボールを持っても、持たれても怖い日本」を体現できれば、この“チャレンジングなF組”を抜け出し、これまで届かなかったベスト8、さらにはその先の景色も見えてくるはずです。

抽選会を経て、いよいよ具体的な対戦相手が見えたW杯26。日本代表にとっては、これからの1年半が勝負の時間になります。欧州とアフリカ、それぞれの強豪とのマッチアップをどう上書きしていくのか──F組での戦いは、“新しい日本代表像”の完成度を測る絶好の舞台となりそうです。

抽選会の雰囲気をもう一度 公式X&YouTube

最後に、抽選会の様子や速報を伝える公式アカウントのポストもあわせてチェックしておきましょう。