※本記事で触れる実績データは、2024年世界選手権までのISU公式結果など公表情報に基づいています。最新シーズンの結果は、必要に応じてISU公式サイトでご確認ください。
ミラノ=コルティナへ──フィギュアの「主役候補」たち
次の冬季オリンピック「ミラノ=コルティナ2026」が近づくにつれて、フィギュアスケートは「誰が代表に入るか」から、「誰がメダルを争うか」という視点へと焦点が移っていきます。日本勢と海外勢、それぞれの“主役候補”を、いまのうちに整理しておきたいところです。
女子シングル:坂本花織がつくった“標準”を誰が超える?
女子シングルで、ここ数年の世界の基準を押し上げてきたのが坂本花織です。スピードのあるスケーティングと安定した3回転ジャンプ、そしてプログラム後半まで落ちないスタミナ。2022年モンペリエ、2023年さいたま、2024年モントリオールと世界選手権3連覇を達成し、「大きなミスなく220点台を出す」というスタイルは、女子フィギュアにおける一つの“標準スコア”をつくったと言っていいでしょう。
日本勢の中では、音楽との一体感と滑りの美しさで国際的な評価を得ている三原舞依や、高難度3回転の構成力と勢いを持つ吉田陽菜らが、坂本の背中を追う存在です。基礎点だけでなく、演技構成点(PCS)でどこまで評価を引き上げられるかが、ミラノ=コルティナに向けた代表争いとメダル争いの両面で重要なポイントになります。
男子シングル:4回転の数だけでは語れない時代へ
男子は引き続き4回転ジャンプの時代ですが、「本数を入れれば勝てる」というシンプルな図式ではなくなってきています。日本勢では、総合力の高さと安定した4回転で世界選手権表彰台経験もある鍵山優真、高さと幅のある4回転ジャンプで攻める佐藤駿、個性的な音楽選びと表現力で国際大会でも存在感を示す友野一希らが、ミラノ=コルティナ世代の中心といえるでしょう。
海外に目を向ければ、2024年世界選手権を制したイリア・マリニン(アメリカ)のように、4回転アクセルを武器とするスケーターや、芸術性を前面に出すヨーロッパ勢など、スタイルはさまざまです。五輪本番では「4回転を何本構成するか」だけでなく、「どのタイミングに配置するか」「どの音楽にどう組み合わせるか」まで含めた“プログラムとしての完成度”が、勝負を分ける要素になっていきそうです。
主な実績から見る「主役候補」たち(〜2024年世界選手権まで)
ここでは、ミラノ=コルティナでメダル争いに絡む可能性が高い選手のうち、ごく一部を実績ベースで整理しておきます(世界選手権やオリンピックなどの結果は2024年大会まで)。
| 選手 | 国 | 主な実績(〜2024年世界選手権) |
|---|---|---|
| 坂本 花織 | 日本 | 世界選手権3連覇(2022・2023・2024)、北京五輪銅メダル ほか |
| 鍵山 優真 | 日本 | 北京五輪銀メダル、世界選手権銀メダル2度(2022・2024)など安定した表彰台 |
| イリア・マリニン | アメリカ | 2024年世界選手権男子シングル優勝、4回転アクセル成功で話題に |
この表に挙げたのはほんの一例に過ぎませんが、「どの大会で何を結果として残しているか」を押さえておくと、これからのシーズンの試合を追いやすくなります。特に、世界選手権やグランプリファイナルのようなビッグイベントは、五輪本番のメダル争いを占う上で重要な材料になります。
チームジャパンに求められるのは「誰が出ても戦える層」
ミラノ=コルティナを見据えるとき、フィギュア日本勢にとってのキーワードは「層の厚さ」です。代表に選ばれる数名だけが強いのではなく、その後ろにもいつでも国際大会で戦える選手が控えている状態が理想といえます。そうした層があれば、ケガやコンディション不良といった不確定要素があっても、チームとしての総合力は落ちにくくなります。
これからの1〜2シーズンは、ジュニアからシニアへ上がってくる世代も含めて、「誰をどのタイミングで国際大会に送り出すか」という長期的なプランニングが問われる期間になります。WINTER NOTEでは、シーズンごとの結果だけでなく、そうした“世代交代の設計図”にも注目していきたいところです。
