りくりゅう、世界V2&GPファイナル制覇 ボストンと名古屋で示した“楽しむ”強さ

WINTER SPORTS

2025年12月10日

※本記事は、2025年ボストン世界選手権および名古屋・愛知2025 ISUグランプリファイナルの公式結果・レポートをもとに構成しています。

二度目の世界王者、3年ぶりのGPファイナル制覇

フィギュアスケート・ペアで日本史上初の世界王者となった「りくりゅう」こと三浦璃来/木原龍一組が、2025年シーズンに再び歴史を塗り替えました。ボストンで行われた世界選手権2025で2度目の世界タイトルを獲得し、続くISUグランプリファイナル名古屋2025でも3年ぶりに頂点へ。まさに「王座奪還」と「ファイナル制覇」のシーズンとなりました。
世界選手権ではわずか0.71点差の大激戦を制し、グランプリファイナルでは僅差のリードを守り切る勝負強さを発揮。リンクの上で「楽しむ」ことを取り戻した2人の姿は、ミラノ・コルティナ2026冬季五輪への大きな追い風となりそうです。

2025年世界フィギュアスケート選手権(ボストン):0.71点差の“王座奪還劇”

ボストンのTDガーデンで行われた世界フィギュアスケート選手権2025・ペア。三浦/木原組はショートプログラム(SP)「Paint It Black」で、トリプルツイスト、スロージャンプ、リフトを揃え76.57点をマークし、イタリアのコンティ/マッキ組、ドイツのハーゼ/ヴォロディン組を抑えて首位発進します。

続くフリースケーティング(FS)は、情熱的な「Adios」を用いたプログラム。トリプルツイストやサイドバイサイドのトリプルサルコウ、難度の高いリフトはしっかり決めた一方で、スローループとスローフリップで着氷が乱れ、FSは143.22点で2位という結果に。それでも合計219.79点を積み上げ、219.08点で迫ったハーゼ/ヴォロディン組をわずか0.71点差で振り切り、2023年以来2度目の世界タイトルをつかみました。

試合後、三浦は「最初の世界タイトルのときは、ただうれしいだけだった。でもこの2年は怪我やスランプもあり、本当に苦しかった。だからこそ、2度目のタイトルは特別な意味があります」と振り返り、木原も「楽しむことを忘れていた時期もあったけど、この試合ではまた“楽しんで滑る”感覚を取り戻せた」と語っています。

順位 ペア 合計得点
1 Riku Miura/Ryuichi Kihara JPN 219.79
2 Minerva Fabienne Hase/Nikita Volodin GER 219.08
3 Sara Conti/Niccolo Macii ITA 210.47

※ISUおよびオリンピック公式サイト掲載の最終結果より抜粋。{index=4}

2025-26グランプリファイナル(名古屋):3年ぶりのファイナル制覇

名古屋・愛知国際アリーナで行われたISUグランプリファイナル2025は、りくりゅうにとって“3年ぶりのファイナル制覇”をかけた大一番。今季はスケートアメリカグランプリ・ド・フランスで優勝し、シリーズランキング1位でファイナル進出。2度の世界王者として臨んだホームリンクでの決戦でした。

ショートプログラムは引き続き「Paint It Black」。シーズン序盤から課題とされてきたサイドバイサイドの3回転トウループで回転不足、スローフリップでもステップアウトがありながらも、トリプルツイストやリフトなどの加点要素でカバーし、77.32点で僅差のトップに立ちます(2位のコンティ/マッキ組とはわずか0.10点差)。

フリーは「グラディエーター」の音楽を使ったドラマティックな構成。冒頭で木原がステップ中にわずかにバランスを崩す場面こそあったものの、その後は大きなトリプルツイスト、高さのあるスロージャンプ、終盤のリフトまで緊張感のある演技をやり切り、フリー147.89点、合計225.21点をマーク。イタリアのコンティ/マッキ組(223.28点)、フリーで猛追したハーゼ/ヴォロディン組(221.25点)を振り切り、2012–13シーズン以来となる日本人ペアのグランプリファイナル優勝を再び成し遂げました。

順位 ペア 合計得点 SP/FS
1 Riku Miura/Ryuichi Kihara JPN 225.21 SP 77.32 / FS 147.89
2 Sara Conti/Niccolo Macii ITA 223.28 SP 77.22 / FS 146.06
3 Minerva Fabienne Hase/Nikita Volodin GER 221.25 SP 71.68 / FS 149.57

※ISU公式リザルトおよび国際メディアのリポートをもとに作成。

公式SNS・動画で振り返るりくりゅうの輝き

上記のXポストはいずれもISU公式アカウントによる大会レポートで、名古屋でのグランプリファイナル表彰台や、ペアの激戦を伝える内容になっています。

数字で見るりくりゅう:世界トップの安定感

2025年シーズン終了時点で、三浦/木原組はISUのペア世界ランキングで1位に立ち、グランプリシリーズのポイントでもトップを堅持しています。世界選手権の2度の優勝に加え、グランプリファイナル制覇、四大陸選手権優勝など、名実ともに「世界最高峰のペア」と言える存在です。

特に2025年の世界選手権とグランプリファイナルの両方で、ライバルたちとわずかな点差の中で勝ち切ったことは、ミラノ・コルティナ2026冬季五輪に向けた大きな自信となるはず。本人たちも「楽しむ気持ち」を取り戻した今、五輪での“日本初のペア金メダル”という壮大なチャレンジに向けて、また一歩前に進んだシーズンになりました。