スピードスケート女子中距離のエース・髙木美帆が、ノルウェー・ハーマルで行われたISUスピードスケートW杯第4戦で女子1500mと1000mを連日制覇。1500mは1分54秒95、1000mは1分14秒39で勝ち抜き、来年2月のミラノ・コルティナ冬季五輪へ向けて「復活2冠」を強く印象づけた。日本時間12月18日には海外メディアでも特集が組まれるなど、世界的にもその走りが改めて注目されている。
本記事では、ハーマルでの2レースの展開と結果、髙木自身やコーチのコメント、そしてミラノ五輪へ向けた位置づけを整理する。※内容は2025年12月18日時点の公式リザルト・報道をもとに構成。
女子1500m:1分54秒95で今季W杯初V モロゾワとの僅差を制す
大会初日の女子1500mは、今季のW杯シリーズでも屈指のハイレベルなレースとなった。最終組のひとつ前に登場した髙木は、序盤300mを抑え気味に入り、中盤から一気にスピードを引き上げるいつものスタイル。ラスト1周も大きくフォームを崩すことなく、1分54秒95でフィニッシュした。
結果、カザフスタンのナジェジダ・モロゾワが1分54秒98で続き、その差はわずか0秒03。3位にはノルウェーのラグネ・ヴィークルンが1分55秒18で入った。タイム差だけを見れば紙一重だが、髙木にとっては今季W杯の1500mで初優勝となる重要な一勝だった。
| 順位 | 選手 | 国 | タイム | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 髙木 美帆 | 日本 | 1:54.95 | – |
| 2位 | ナジェジダ・モロゾワ | カザフスタン | 1:54.98 | +0.03 |
| 3位 | ラグネ・ヴィークルン | ノルウェー | 1:55.18 | +0.23 |
レース後、髙木は「勝ててホッとした気持ちもあるけれど、それ以上に内容をどう上げていくかを考えている」と語り、結果よりもレースの質にこだわる姿勢を強調。ラップタイムを見ると後半の伸びにまだ改善の余地があることも自覚しており、「このままでは五輪で勝てるレースではない」と、あくまで“通過点”として位置づけている。
女子1000m:1分14秒39で連日優勝 フェムケ・コックとの直接対決を制す
翌日の女子1000mでは、短距離の女王フェムケ・コック(オランダ)との直接対決が注目を集めた。髙木は中盤から一気にスピードを上げ、コーナーワークでもインに鋭く切れ込む攻めの滑り。最後までスピードを落とさずに滑り抜け、1分14秒39をマークして優勝した。
コックが1分14秒73で2位、同じくオランダのマリット・フレッデリュスが1分15秒39で3位。1500mと1000mを連日制したことで、髙木はハーマル大会の女子中距離を完全制覇した形となった。
| 順位 | 選手 | 国 | タイム | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 髙木 美帆 | 日本 | 1:14.39 | – |
| 2位 | フェムケ・コック | オランダ | 1:14.73 | +0.34 |
| 3位 | マリット・フレッデリュス | オランダ | 1:15.39 | +1.00 |
この1000mについて、髙木は「きのうよりも感覚が良くなっている。レースを重ねるごとに少しずつ良くなっているのを感じる」と手応えを口にしている。1500mとの連戦にもかかわらず、高いレベルで2種目をまとめ切ったことが、ミラノ五輪本番へ向けて大きな収穫になった。
「勝っても課題だらけ」それでも見える世界トップとの距離
今季のW杯では、ここまで1000mと1500mで何度も表彰台に立ちながら、なかなか勝ち切れない試合も続いていた髙木。ハーマルでの2勝についても、「うれしさよりも反省点の方が多い」と話しているという。
1500mでは、これまで何度も世界記録やトラックレコード級のタイムをたたき出してきた髙木にしては、まだ“本調子”とは言い難いタイム。それでも世界のトップランナーたちを抑えて優勝した事実は、31歳になってもなお進化を続けている証しだ。
コーチのヨハン・デ・ヴィット氏もメディアの取材に対し、「勝利は自信を与えてくれるし、進んでいる方向が正しいと感じさせてくれる」とコメント。ハーマルでの動きを見て「フォームもエネルギーの使い方も、我々が日々求めているレベルに近づいている」と、内容面にも手応えを語っている。
ミラノ・コルティナ2026へ:主戦場は1000m&1500m+チームパシュート
髙木はこれまで、オリンピックで計7個のメダル(うち金2)を獲得している日本女子スピードスケート界の絶対的エース。北京2022では女子1000mで金メダル、1500mと500m、チームパシュートで銀メダルを手にし、日本女子として史上最多のメダル数を誇る存在となった。
ミラノ・コルティナ2026に向けて本人が「主戦場」と位置づけるのは、今回のW杯でも勝利した1000mと1500m、そしてチームパシュートだ。500mについては「スピードがまだ足りない」とし、出場種目を含めて慎重に見極めたい考えを示している。
今回のハーマルW杯は、ミラノ五輪へ直結するシーズン中盤の重要なステップ。ここでの2冠は、単なる“好結果”にとどまらず、「勝ちながら課題を洗い出す」という髙木らしい準備の一環と言ってよさそうだ。
主な結果・参考リンク(公式情報)
ハーマル大会および髙木美帆の成績について、より詳しく知りたい人向けに公式サイトのリンクをまとめた。
