2025/26シーズンのFISスノーボード・ビッグエアW杯は、中国・シークレットガーデンで開幕。北京2022の舞台でもあるオリンピック会場に、世界のトップライダーと日本の“ビッグエアドリームチーム”が集結し、ミラノ・コルティナ2026への本格的な代表レースがここから始まります。
大会概要:北京五輪会場で行われるビッグエア開幕戦
大会はFISスノーボード・パーク&パイプW杯の一戦として、シークレットガーデン(中国・張家口)で開催されます。日程は現地時間で2025年11月27〜29日(予定)。27日に予選、29日に決勝が行われ、男女ともに今季最初のビッグエア王者が決まります。
FIS公式プレビューによると、今大会は昨季ビッグエア&パーク&パイプ二冠王の長谷川大河や、世界選手権ビッグエア王者の木俣椋真らを擁する日本勢が男子の中心。一方女子も、世界選手権2025ビッグエアで金銀銅を独占した村瀬心椛/岩渕麗楽/深田茉莉に加え、4位の鈴木桃々まで揃う布陣で、“日本対世界”の構図が色濃い一戦になります。
女子:世界選手権で表彰台独占の日本勢が中心
2025年3月の世界選手権エンガディン大会・女子ビッグエアでは、日本勢が表彰台を独占。村瀬心椛が金メダル、岩渕麗楽が銀メダル、深田茉莉が銅メダルを獲得し、4位にも鈴木桃々が入る圧倒的な強さを見せました。
ワールドカップ2024/25シーズンのビッグエアランキングでも、クリスタルグローブ(種目別総合優勝)は英国のミア・ブルックスが獲得したものの、ポイントは深田と同点。タイブレークの結果グローブはブルックスに渡りましたが、シーズンを通して日本女子がビッグエアの中心にいたことは数字が証明しています。
今季開幕戦のシークレットガーデンには、ブルックスやダブル五輪金メダリストのアンナ・ガッサーら一部のスター選手は欠場予定ですが、日本女子の主力は総出場。日本としては「表彰台独占の再現」だけでなく、「ミラノ・コルティナに向けた序盤の主導権確保」が重要なテーマになります。
男子:長谷川大河と木俣椋真、“二枚看板”で連覇と世界王者の肩書きに挑む
男子は長谷川大河が昨季のビッグエアW杯総合&パーク&パイプ総合のダブル・クリスタルグローブを獲得。北京、クラーゲンフルトなどで優勝と表彰台を重ね、最終戦のアスペンでは2位に入りながらもトータル360ポイントでタイトルを掴みました。
その長谷川にとってシークレットガーデンは、「王者」として迎える新シーズン初戦。世界選手権2025ビッグエアでは、同じ日本の木俣椋真が優勝し、自身は銀メダル。日本人同士で世界タイトルを争った記憶も新しい中で、「世界王者・木俣」と「W杯王者・長谷川」という二枚看板が今季も男子ビッグエアを牽引します。
さらに、日本勢には北京W杯ビッグエア優勝経験のある荻原大翔、アスペンW杯で初表彰台を獲得した宮村優斗、クラーゲンフルトで表彰台に乗った木村希良らも名を連ねており、「誰が決勝に残ってもおかしくない」層の厚さが魅力です。
どう戦いが動きそうか:鍵を握る「高回転×スタイル」とメイク率
シークレットガーデンは北京2022冬季オリンピックでハーフパイプなどの会場となった世界有数のスノーパークで、今季はここにビッグエアW杯用の新たなキッカーが設置されます。ビッグエアでは「高回転トリック」と「スタイル」、そしてそれを本番で決め切るメイク率が勝敗を左右します。
女子では、世界選手権で高難度のスピンを安定してメイクした村瀬、縦回転を絡めたコンボで加点を稼ぐ岩渕、トリックのバリエーションと安定感が光る深田の3人が中心。決勝では、難易度をどこまで上げるか、そして1本目から攻め切るのか、2本目以降に勝負をかけるのかといった「駆け引き」が注目ポイントです。
男子では、すでに4方向の1980(5回転半)をコンプリートしている長谷川を筆頭に、日本勢は超高回転トリックを武器に戦います。一方で、昨季も存在感を見せたイタリアのイアン・マッテオリや、中国の蘇翊鳴(スー・イーミン)、カナダのイーライ・ブシャールら海外勢も黙ってはいません。日本勢が攻め切ったうえで、どこまでメイク率を維持できるかが、表彰台の色を左右しそうです。
データで見る日本勢の強さ:世界選手権2025ビッグエア結果
ここまでの実績を整理するために、世界選手権2025エンガディン大会・スノーボードビッグエアの結果(上位3人)を一覧にしました。いずれもFISおよびオリンピック公式サイトの結果を基にしています。
| 順位 | 選手 | 国 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1位 | 村瀬 心椛 | 日本 | 162.50 |
| 2位 | 岩渕 麗楽 | 日本 | 156.00 |
| 3位 | 深田 茉莉 | 日本 | 153.25 |
| 順位 | 選手 | 国 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1位 | 木俣 椋真 | 日本 | 176.75 |
| 2位 | 長谷川 大河 | 日本 | 174.50 |
| 3位 | オリバー・マーティン | アメリカ | 171.75 |
世界選手権では男女ともに日本人が金メダルを獲得し、女子は表彰台独占、男子も2人がメダル獲得と、まさに「日本の時代」を象徴する結果となりました。シークレットガーデンの開幕戦は、その流れを世界の前で改めて証明できるかどうかが焦点です。
2024/25ビッグエアW杯女子ランキング(主要選手)
昨季2024/25シーズンの女子ビッグエアW杯最終ランキング(種目別)では、以下のように日本勢が上位を占めました(ポイントはFISおよびオリンピック公式の公開値に基づく)。
| 順位 | 選手 | 国 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1位 | ミア・ブルックス | イギリス | 305 |
| 2位 | 深田 茉莉 | 日本 | 305 |
| 3位 | 岩渕 麗楽 | 日本 | 255 |
| 4位 | アンナ・ガッサー | オーストリア | 208 |
同ポイントながらタイブレークでタイトルを逃した深田にとって、今季は「雪辱と逆転」を狙うシーズン。シークレットガーデンでシーズン初勝利を挙げられるかどうかは、大きなターニングポイントになりそうです。
ミラノ・コルティナ2026へ向けた“開幕ラウンド”として
今大会は、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック・ビッグエア日本代表争いにおいても重要な一戦です。世界選手権で結果を残した選手だけでなく、若手や新戦力もW杯での実績が代表選考の大きな材料になります。
日本勢にとっては「メダル候補」としての自覚を持ちながらも、初戦ならではの緊張感やコースへの対応力が問われる大会。決勝で日本勢がどれだけの人数を送り込み、どんなトリックで世界を驚かせるのか。ビッグエアファンにとって、今季の流れを占ううえで絶対に見逃せない開幕戦になりそうです。
公式動画&SNSで大会前に予習しよう
最後に、ビッグエアやシークレットガーデン、そして日本勢をさらに楽しむための公式コンテンツをピックアップしました。大会前の“予習”にぜひどうぞ。
FISスノーボード公式YouTubeのハイライト動画より、村瀬心椛が世界選手権エンガディン2025女子ビッグエアで優勝した際のダイジェスト。日本勢の強さをあらためて実感できる一本です。
