坂本花織 ― 安定と強さが導くミラノ=コルティナへの道

WINTER SPORTS

2025年11月17日

COLUMN 04
坂本花織
女子フィギュア
日本女子フィギュアトップスケーター大会展望+人物物語

圧倒的な安定感、磨かれた表現力、そして勝負強さ。坂本花織はいま、日本女子フィギュアの中心としてミラノ=コルティナ2026に向かっている。彼女の軌跡は努力と覚悟の結晶であり、強さの裏には深い物語がある。

■ 神戸から世界へ ― 坂本花織という物語

兵庫・神戸に生まれ、地元クラブで滑り始めた坂本花織。明るい性格と同時に、負けず嫌いとして知られ、ジュニア時代から世界の舞台に立ち続けてきた。特別な天才型ではなく、圧倒的な努力と積み上げによって世界トップクラスへ上がってきたタイプだ。

怪我やスランプの時期も経験したが、その度に「底からの跳ね返り」を見せてきたのが坂本の最大の魅力。勝負どころで崩れない精神力は世界でも屈指であり、ミラノでも最大の武器となる。

■ ミラノでの期待 ― 世界が認める“安定の象徴”

坂本花織は現在、女子シングルにおいて最も安定感のある選手の一人とされている。ジャンプの加点、スケーティングの伸び、表現の成熟度――いずれも高評価で、国際大会でもPCSが伸び続けている。

ミラノ=コルティナ2026では、金メダル候補の最前列に立つ存在。特に後半のジャンプ構成の強さ、演技全体の密度、体力配分の巧さは、世界の中でも突出している。

■ 演技構成と技術 ― “完成度の高さ”が最大の武器

坂本の武器は4回転ジャンプではない。しかし、彼女が世界トップを維持できる理由は明確だ。

  • ● すべてのジャンプの質が高く、GOEで加点を取りやすい
  • ● スケーティングが強く、リンクを支配する滑りができる
  • ● 振付の完成度が高く、PCSが安定して高い
  • ● 試合で崩れにくい“鉄壁の安定感”

特に「崩れない」という点は、五輪という舞台で最も価値のある能力だ。

■ 逆境を乗り越える力 ― 悔しさから生まれた強さ

坂本花織のキャリアには、“ここから這い上がった”瞬間がいくつもある。結果が出ない時期もあったが、そのたびに課題を洗い出し、淡々と練習を積み重ねてきた。

「悔しさを力に変える」のが坂本花織の真骨頂である。

■ 日本女子フィギュアの歴史の先に立つ存在

浅田真央、宮原知子、紀平梨花――強い選手が連続して現れた日本女子。その歴史の上にいるのが坂本花織だ。彼女はその系譜を継ぎつつ、“安定という新しい強さ”で世界の頂点に挑んでいる。

■ ミラノ=コルティナで見せる未来

坂本花織がミラノで表現したいのは、技術だけではない。スケート人生の集大成として、「坂本花織の物語」そのものを演技で伝えること。勝つことだけでなく、自分のスケートを世界に届けるという強い覚悟を持っている。