スノーボード&フリースタイル ― ミラノ=コルティナへ挑む日本の4人
ハーフパイプ、ビッグエア、モーグル――空中を駆ける競技は、今や日本の冬季スポーツの“顔”になりつつある。 なかでも 平野歩夢・岩渕麗楽・堀島行真・川村あんり の4人は、ミラノ=コルティナ2026に向けて 世界から最も注目される日本選手たちだ。それぞれの物語と、彼ら/彼女らが描く未来を追っていく。
■ 日本の“空中系&フリースタイル”が熱い理由
スノーボードやフリースタイルスキーは、かつては一部のファンだけが知る“新しい競技”だった。 しかし今では、Xゲームや五輪でのハイライト映像がSNSを通じて瞬く間に拡散し、 「かっこいい」から入る若い世代が急増している。
その最前線に立つのが、ハーフパイプの平野歩夢、ビッグエア&スロープの岩渕麗楽、 モーグルの堀島行真と川村あんりだ。彼らは単にメダルを狙う選手ではなく、競技そのものの価値観や 雰囲気を変えてきた“象徴”でもある。
■ スノーボード男子:平野歩夢 ― 「革命児」から「王者」へ
10代でソチ・平昌と2大会連続の銀メダル、そして北京でついに金メダルをつかんだ平野歩夢。 ハーフパイプで前人未到の高難度トリックに挑み続け、競技のレベル自体を引き上げてきた。 いまや彼は、「ハーフパイプ=平野歩夢」と言ってもいいほどの存在だ。
特徴的なのは、トリックの難しさだけでなく、その「美しさ」。 空中での姿勢、着地の安定感、スピードの維持――すべてが洗練されており、 見る人を惹きつける“完成されたスタイル”を持っている。
ミラノ=コルティナでは、王者として追われる立場になる。ライバルたちも難度を上げてくるなか、 彼がどんな構成で勝負に出るのか。その一挙手一投足が、また世界の基準を更新していくかもしれない。
■ スノーボード女子:岩渕麗楽 ― 限界を押し広げるハイリスク・ハイリターンの挑戦者
岩渕麗楽は、10代から世界のビッグエア&スロープスタイルで戦い続けてきた日本のエースだ。 平昌・北京と2大会連続で表彰台に迫りながら、わずかな差でメダルを逃した経験を持つ。
それでも彼女は攻める姿勢を変えない。高さのあるジャンプから、男子顔負けの大技に挑み続けるそのスタイルは、 「結果よりも、自分が納得できる滑りを」という信念の表れでもある。
ミラノに向けては、安定感と攻めのバランスがキーワードになる。 成功すれば一気にトップへ飛び出せる“岩渕らしい構成”を、どこまで試合で通せるか――。 その挑戦を見守るファンは世界中にいる。
■ モーグル男子:堀島行真 ― 技術と完成度で狙う「ミラノの金」
堀島行真は、日本モーグル男子の絶対的エースだ。世界選手権での優勝、ワールドカップの年間王者、 北京での五輪銅メダルなど、実績は世界トップクラス。安定したターンと高難度のエアを、高いスピードでまとめる “トータルパッケージ”の完成度が強みだ。
モーグルは、タイム・ターン・エアの3要素で採点される複雑な競技だが、 堀島はそのすべてをハイレベルにこなせる数少ない選手の一人。シーズンを通して表彰台に立ち続けることで、 「強い日本」のイメージを世界に植え付けてきた。
ミラノ=コルティナでは、悲願の金メダルが現実的な目標となる。 どれほど完成度を高められるか、そして決勝で“攻め切れるか”。 その一瞬の決断が、キャリアの集大成を決めることになるだろう。
■ モーグル女子:川村あんり ― 21歳、“黄色ビブ”を狙う新世代
川村あんりは、10代のうちからワールドカップで表彰台に乗り続けてきた新世代のスターだ。 北京五輪では5位に終わったものの、その滑りは世界から高く評価され、 すでに「次の女王候補」として名前が挙がっている。
しっかりとしたターンと、女子としては高い難度のエアを兼ね備え、 さらに笑顔を絶やさないキャラクターでも人気が高い。 彼女がスタートゲートに立つと会場の空気が一段明るくなる――そんな存在感を持っている。
ミラノに向けてのキーワードは、「安定感」と「攻め」の両立。 シーズンを通して黄色いリーダーズビブ(ランキング1位)を狙いにいけるだけの実力はすでに証明済みで、 あとは大舞台でその力を出し切るだけだ。
■ 4人がもたらす、日本チーム全体への“波及効果”
この4人の存在が大きいのは、メダル候補だからという理由だけではない。 彼ら/彼女らを見て育ったジュニア選手たちが、すでに世界の舞台に出てきているからだ。
平野に憧れてハーフパイプを始めたキッズ、岩渕のようにビッグエアを飛びたい中高生、 堀島や川村の滑りを真似してモーグルを始めた選手たち――。 4人は、“競技人口を増やす力”を持つ存在でもある。
ミラノ=コルティナ2026で、彼らがどんな結果を残すのか。
そして、その姿を見た子どもたちがどんな未来を描いていくのか。
日本のスノーボード&フリースタイルの物語は、まだまだ続いていく。
